2013年11月12日火曜日

『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』勝間和代

著者 : 勝間和代
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日 : 2007-04-05
【オススメ書籍紹介】『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』勝間和代
(レビュアー:エンジニア 福岡)

この書籍は著者が実際に行った”勉強法”が紹介されています。
実経験を元にどのように勉強をすると効率が良いか、年収10倍アップに繋がるかが書かれています。

勉強法はもちろん参考になるものですが、私は勉強をするまでのモチベーションの持ち方についてがとても参考になりました。
なんの為に勉強をして、どうやって勉強を長続きされるのかなどが書かれています。
将来こんなことをしたい、こんな風になりたいと思い描いていても、なかなか動かない人はたくさんいると思います。
自分を無理にでも勉強をする状況に追い込む、その一つとして給料の5%〜10%を勉強代に使うということです。
お金をかけたから持ったいない、そんな理由でも十分に続ける理由になるというのです。
それだけのお金をかけるのに躊躇してしまいそうですが、それを先行投資だと思い、将来年収があがればすぐにもとはとれます。

実際私は例えばあまり気に入らない服や鞄でも、買ってしまったらもったいないからと思い使います。
先行投資をするという方法は的を得ているなと思いました。
しかし勉強する内容を間違えてしまうと、それも無駄になってしまいます。
自分が将来どうなるためになんの勉強が必要なのか、しっかり見極めて将来の自分の為に投資したいです。

2013年10月31日木曜日

『パーソナルブランディング 最強のビジネスツール「自分ブランド」を作り出す』 ピーター・モントヤ ティム・ヴァンディー

【オススメ書籍紹介】『パーソナルブランディング 最強のビジネスツール「自分ブランド」を作り出す』 ピーター・モントヤ ティム・ヴァンディー
(レビュアー:マーケター 酒井)

「パーソナルブランディング」という概念をご存知でしょうか。
企業が自社のブランディングをするように、
個人も自らのブランディングをすべきだという考え方です。

あなたにはどういう価値があるのでしょうか。
何ができるのでしょうか。
それは価値のあることなのでしょうか。

特にアメリカでは「パーソナルブランディング」という考え方が浸透しています。
日本ではジョブローテーションの一貫で総合職がマーケティングをやったり人事をやったりしますが、
日本で総合職が担っているような仕事がアメリカでは専門化されています。
極端な話をすると新規事業立ち上げの専門家は新規事業立ち上げのために雇われ、
無事に立ち上がった暁には解雇されます。
会社に勤めているというよりもプロジェクトのポジションに勤めているため、
そのポジションが不要になれば当然その会社に居場所はなくなります。

このため、自分が何をできる人間なのかを明確にし、
労働市場で価値をアピールし続けることが死活問題になってくるのです。

これはアメリカの話だから関係ない、と思われるかもしれませんが、実はそうでもありません。
アメリカの会社も元々は年功序列・終身雇用に近い考え方をしていました。
それでは回らなくなってきたので経営学者や組織論者が色々と考えて成果主義や契約社員がマジョリティになってきたのです。
日本もちょうど回らなくなってきたところです。
今後の日本の労使関係を占うことはそんなに難しいことではありません。

「あなたには何ができるんですか?」
「部長ができます」
という中途採用面接の笑い話は有名ですが、
パーソナルブランディングができていないとこれと大差ない受け答えしかできなくなってしまいます。


本書はそんなホットな「パーソナルブランディング」の指南書です。

・どのようにして自分の強みを見極めたら良いか
・どうやってその強みを磨いていけば良いか
・磨いた強みをアピールするためにどうしたら良いか

内容に純文学のような厚みはありませんが、役に立つことが載っています。
私は9ヶ月前にこの本を読み載っていたことを愚直に実践しました。
自分の強みを明確化したり、個人の名刺を作ったり、パーソナルパンフレットを作ったり、といったことです。

この活動のおかげで手にできたチャンスは少なくありません。
面白いプロジェクトに誘いを受けたり、
新しい事業の立ち上げのマーケティングを頼まれたり、
今後一緒に仕事をできるかも知れない人を引き合わせてもらえたり、
会社に役員としてジョインすることを求められたりというような成果につながりました。
会社員としてではなく、個人として活躍できる場が世の中にはたくさんあります。
それらの活動を通してよりパーソナルブランディングを強化することができます。

パーソナルブランディングを実践することはすごく面倒くさいです。
でも、やるのとやらないのとでは大きな違いを生みます。
本書を読み、ぜひ週末を潰してパーソナルブランディングに励んでみてください。

2013年10月16日水曜日

『生まれ変わっても、この「仕事」がしたい』 堀田 孝治

【オススメ書籍紹介】『生まれ変わっても、この「仕事」がしたい』 堀田 孝治
(レビュアー:デザイナー 伊波)

キャリアプランについて、私はあまり深く考えたことがありませんでした。
時間がなくて考えている暇がないという訳ではなく、自分自身がこれからどうなりたいのかという意思が特になく、ただ仕事をしていくことである程度満足してしまっていたのです。

この本は、はじめにキャリアについて考えることの重要性を説いています。
そして「自分の望むキャリア」の発見方法、そのキャリアを実現するための方法などが解説されています。
解説がとても分かりやすくて、本を読んでいるというよりも個人のブログを読んでいるような親近感があり、「行動にうつしてみよう」とポジティブな気持ちになれる本です。

「何がしたいか分からない」という悩みは、特に若い世代だとよくある悩みだと思います。私も深く考えてはいなかったにしろ、ふとしたときに「本当にこの仕事がしたいのだろうか」と思うことがあります。
小さな子どもが「お花屋さんになりたい」「サッカー選手になりたい」という漠然とした夢を持つのと同じように、「WEBで何かを作る仕事がしたい」と幼い頃から思っていたせいか、10代半ばから他のものは向いていないと思い込んでいる節がありました。それが視野を狭めているのではないか、他に自分の望む仕事が別にあるのではないか、そう考えながらも目をそらしていました。

本で紹介されている望むキャリアの発見方法のなかで、私が一番やってみておもしろいと感じたものが「30分の制限時間以内にやりたいと思ったことをとにかく書き出す」というものでした。
実際に行動している訳ではない今でも思い浮かべるだけでやりたいことがたくさんある上、ただ思い浮かべただけなのにワクワクしてくるのです。
本当に自分が望んでいる、生まれ変わってもやりたいと思える仕事は、きっとこのワクワクの中にあると感じました。

私のようにキャリアについてあまり考えたことのない若い世代にも、何年もキャリアを積み重ねた方にもおすすめしたい1冊です。

2013年10月1日火曜日

『ハイ・コンセプト -「新しいこと」を考えだす人の時代』 ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)

【オススメ書籍紹介】『ハイ・コンセプト -「新しいこと」を考えだす人の時代』
ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)
(レビュアー:エンジニア 久保田)

今回のRead for Actionのテーマは『キャリアプラン』です。
キャリアについて考える機会はなかなか少ないと思いますが、
それぞれが選んだ書籍を通してそれぞれの未来について考えてみたいと思います。

まずこの本にある次の3つの質問を考えてみましょう。

1.この仕事は、他の国ならもっと安くやれるだろうか?
2.この仕事は、コンピュータならもっと早くやれるだろうか?
3.自分が提供しているものは、豊かな時代の非物質的で超越した欲望を満足させられるだろうか?


「1,2の答えがyes、3の答えがnoだとしたらあなたが抱える問題は深刻だ。」と書かれています。
私もこの深刻な問題を抱える1人です。
この質問の回答を考えている時、背筋が凍りました。
今やWebで世界中がつながり、競争相手は世界となり、
自分が仕事で使っているパソコンすら自分の競争相手となる。
自分のやっている仕事はもっと安く、もっと早くできてしまう。
こうなると自分の存在意義が無くなってしまいます。

ただ日本に生きているというだけで、他国より高い給料をもらっていける時代は終わってしまいました。

ではどうすればこの先生き残っていけるのでしょうか。
答えは「右脳主導思考」です。
農業、工業、情報の時代は過ぎ去り、今や「コンセプトの時代」が幕を開けました。
このコンセプトに必要なものが右脳主導思考なのです。

この本では具体的に6つの鍛えるべきセンスを上げてくれています。
1.デザイン
2.物語
3.全体の調和
4.共感
5.遊び心
6.生きがい

詳細は書籍を読んでいただくとして、共通することは
単純作業ではなく機械じゃできないこと
かと思います。

自分はエンジニアですが、ただコードを書くだけではなく、
よりよいサービスのために何ができるのか、自分の得意分野は伸ばしつつ
上のセンスについても今後鍛えていく必要がありますね。
これらを組み込み、自分のキャリアプランを考えていこうと思います。

2013年9月3日火曜日

『ザ・チーム』齋藤ウィリアム浩幸

【オススメ書籍紹介】『ザ・チーム』齋藤ウィリアム浩幸
(レビュアー:マーケター 酒井)

あなたが所属しているチームは"良い感じ"でしょうか。
お互いに批判し合ったり、特定の人物が音頭を取って、残りの人はついていくだけの構図にはなっていないでしょうか。

アメリカの大学からベンチャーを立ち上げ、その後もアメリカでいくつかの事業を手がけた著者が日本に対して持った違和感は、「チーム」という概念そのものが不在であったことでした。
チームというのは言うまでもなく、協力することによって個人よりもずっと早く質の高い結果を生むためにあります。
このチームが日本ではまともに機能していない、というのが著者の指摘です。

チームが本来の目的を達成するためにはどうしたら良いのでしょうか。
まずは目的を共有することが欠かせません。メンバーそれぞれが違うゴールを目がけていては、例えばディスカッションしてもただ声が大きいだけの人の意見が通ってしまいます。

次いで、お互いに尊重し合う必要があります。個人には得意なことも苦手なこともあります。
例えばものづくりが得意な人とマネジメントが得意な人がチームを組むから、お互いの強みを活かして良いアウトプットが生まれます。
ここでものづくりが得意な人が、マネジメントが得意な人に対して、「ものづくりができないやつに指示されたくない」というような思いを持ってしまうとチームは成立しませんが、あなたの身の回りでもこのような他人の批判が日常的に行われているのではないでしょうか。
反面でマネジメントが得意な人は、ものづくりが得意な人に対して、「もっと責任を持ってほしい」と思うことがあります。ものづくりが得意な人はある一定の作業範囲を任されるわけですが、仕様が漏れているところを先に確認したり、テストをしたりと、どこまでが責任の範囲になるのかで意識がずれる現象です。ものづくりが得意な人もある意味、自分の作業内容をマネジメントする必要があるのですが、マネジメントが得意な人はこれを強く求める傾向にあります。
しかし、お互いに不得意な部分をあげつらい合っているだけではチームは成長しません。
最初に本人も自分ができない部分を認め、チームメンバーもその人に弱点があることを肯定的に認める必要があります。
そうすると、一緒にどこまで早く良いものが作れるか考えることができるようになります。チームとして一体になります。


誰しも一度や二度は"良い感じ"のチーム活動をしたことがあるのではないでしょうか。
例えばスポーツは目標の共有が比較的容易なのと、個々に求められる能力に類似点があるので、"良い感じ"のチーム活動になりやすいと思います。
私も少ないながら、その貴重な体験をしたことがあります。
あのチームを再現するためには、目標の共有とお互いの尊重が鍵になってきます。
あなたのチームを"良い感じ"にするためのノウハウが、この本には詰まっています。

2013年8月21日水曜日

『世界一やさしい問題解決の授業』 渡辺健介

『世界一やさしい問題解決の授業』 渡辺健介
(レビュアー:デザイナー 伊波)

今回は社会人基礎力の中の「アクション」についての本です。

「社会人」としての基礎力をテーマにしていますが、この本は今まで紹介した本とは違い、子どもを対象として書かれています。
内容としてはタイトル通り、問題解決の方法を優しく説明しているものです。
小学生の教科書のように物語と共に学べる形式になっており、見ているだけで楽しくなるようなポップな図解が多く、とても分かりやすく読みやすい印象を受けました。
他の本などで問題解決についての知識を得ていない状態ならば、大人でも十分読む価値のある本だと思います。

この本では問題にぶつかった子が問題を解決する為の行動を追いながら、その方法を解説しています。
問題についてしっかり考えて目的を決める、さまざまな方法を用い状況を分析する、そこから問題解決に必要な行動を考え、行動するといった流れです。
自分1人ではできない案でも他の人に協力してもらうことで実行に結びつけたりして、見事に問題を解決します。

「目的を達成するためにはどのような行動を取るべきか考える」ということは、言葉にすると当たり前のことだと感じます。
ですが、そのプロセスや導き出された結果を振り返ると、本当にしっかりと問題の解決ができていたでしょうか?
私は、特に効果のない行動を繰り返したり、短期的には解決しても長期の解決には結びつかないその場限りの解決策を講じたりしていたことが何度もあります。
しっかりと目的を決め、状況を把握し、どうすれば目的を達成することができるのか?これらのことを何も考えずに行動していた訳ではありませんが、どこかが中途半端になってしまっていました。

今の私は「社会人」としては消極的な部類に属していますが、プライベートである趣味の場では驚くほど積極的になります。特に意識して考えなくても、経験から目的に対し解決する為の方法を導き出すことができるからです。
つまり、問題解決のイメージができていない、自信がないために行動することを踏みとどまってしまいます。
この本を読んで問題解決の方法を学び身につけることが、私にとって「社会人」として前に踏み出す力の基盤になるのではないかと感じました。

2013年8月5日月曜日

『イシューからはじめよ』安宅和人

【オススメ書籍紹介】『イシューからはじめよ』安宅和人
(レビュアー:エンジニア 久保田)

書籍紹介チーム「社会人基礎力」編。今回の話題は「シンキング」です。

本書のはじめに
・悩まない、悩んでいるヒマがあれば考える。
という節があります。
ここでは「悩む」と「考える」は違うものだということを教えてくれています。
ではどう違うのか、本書を引用してみます。

"「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること
「考える」= 「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること"

この「答えが出る」の部分が非常に重要で、答えがでる問題のことをこの本では「イシュー」と定義しています。
「イシュー」を適切に設定することで、無駄のない思考が可能になります。

イシューは以下のように思考をブレイクダウンすることで設定することができます。
"「何に答えを出す必要があるのか」という議論からはじめて
「そのために何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析を設計していく。"

そして適切なイシューが設定できたら、あとは仮説を立てて検証していきます。
この行為こそ「考える」ということそのものなのでしょう。

イシューを設定することは経験的にもとても難しいとおもいます。
まず何について考えているのかよくわからなくなってしまい
無駄に時間を過ごすということはすぐに思いあたります。
つまりただ「悩んで」時間を無駄にしていたわけです。

プロのエンジニアである以上、ただ闇雲に時間を過ごすことは許されません。
お客様の要望を如何に実現するか、言われた仕様をただ実装するだけでなく、
真に解決したい問題とはなんなのか考え、もっと良い物があれば提案する。
イシューに注目することでそういった価値が発揮できるのでは無いかと思います。

イシューの設定方法、仮説、検証の部分に関しては
本書でも様々なツールをや技術を紹介してくれています。
問題をダブりもモレもなく分解する「MECE」だったり、
結論とそれをささえる要点で構成されたピラミッドストラクチャーだったり。

「考える」とは「技術」ですので
練習すれば誰でも習得できるとのこと。
まずはできるところから。練習あるのみです。
悩むのではなく、ちゃんと考えられるようになりたいものですね。

2013年7月24日水曜日

『採用基準』伊賀泰代

著者 : 伊賀泰代
ダイヤモンド社
発売日 : 2012-11-09
【オススメ書籍紹介】『採用基準』伊賀泰代
(レビュアー:エンジニア 福岡)

今回のRead for Actionのテーマは『社会人基礎力』です。
社会人基礎力とは、経済産業省が定義している社会人に必要な基礎力です。
Read for Actionを通して「アクション」「シンキング」「チームワーク」「リーダーシップ」を高めていきます!

第一回目は「リーダーシップ」についてです。
この本の著者はマッキンゼーで採用マネジャーをやっていて、採用をする際にみるリーダーシップについて書かれています。
リーダーシップとはどういうものか、そして日本人はリーダーシップを持っている人が少ない理由などが記されています。

この本を読んで私が感じたのは、日本の企業はリーダーシップとことごとくかけ離れているということです。
リーダーシップというのは「成果主義」を伴います。成果をあげるための最終的判断は一人のリーダーに委ねられるかもしれませんが、そこに至るまでには全員同じ意識で(リーダーシップをもって)意見を出す必要があります。
日本人はプロジェクトの成果に対して、上層部しかコミットしていません。みんながリーダーシップを持っていると、一人一人が成果を突き詰めることになります。目指すものが同じなので、議論は発生しますが対立は発生しません。なので良いものができます。

日本と海外ではリーダーシップに関する認識の差が激しいのです。日本でいうリーダーというのは「責任を負う人」「調整をする人」「管理をする人」の様に万能で若干ネガティブなイメージがあると思います。
しかしまず「リーダー」と「管理する人」は違います。そして「リーダー」と「調整する人」も違います。
そういうことや、リーダーという肩書きは一人でも、チームの中で全員がリーダーシップを持っていると、一人しか持っていないのとではどのように違うのか、などがこの本には書かれています。

学生の頃から、もっとリーダーシップに対して関心を持ち学んできたなら、自分の意識はもっと違ったんだろうと感じました。
でも今からでも遅いとは思いません。自分を含め多くの人がリーダーシップに関して意識を持っていったら、日本の企業は大きく飛躍できるのではないかと思いました。
ぜひ皆さんにも読んで貰って、広まっていって欲しいと思いました。

2013年6月26日水曜日

『SQLアンチパターン』Bill Karwin

著者 : Bill Karwin
オライリージャパン
発売日 : 2013-01-26
【オススメ書籍紹介】『SQLアンチパターン』Bill Karwin
(エンジニア:金子)

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

冒頭にドイツの宰相ビスマルクの格言が引用されています。

本のタイトルに入っている言葉である「アンチパターン」は「べからず集」であり、それを学ぶことにより、自らが失敗をせずとも他者の失敗から学ぶことができると書いています。

第4章で書かれているキーレスエントリ(外部キー嫌い)は、まさに過去に失敗した事のあるパターンでした。
DB側で参照整合性などの制約を厳しく設定した場合、アプリ側の実装で制約に違反をすることは出来なくなるため、時には制約が邪魔に感じることがあります。
しかし制約を外すということは、アプリ側での完璧なコード実装を前提にしており、それなりの代償を支払うことになると意識する必要があります。
この本を読んでいたら、もう少し慎重に検討していたと思います。
その他にも過去の開発経験を思い起こすと頷ける内容がいくつもありました。

本書ではアンチパターンごとに解決すべき目的や解決策、そしてアンチパターンを用いても良い場合の例外についてまで言及しているので、非常に実態に即した内容になっています。
日々開発をして行く中で、どうする事が最善か、道に迷う事があると思いますが、考える際の指針になる本だと思います。

その他にも「インデックスショットガン」(闇雲インデックス)や、「IDリクワイアド」(とりあえずID)など、エンジニアにはピンとくるような秀逸なタイトルも読んでいて面白いです。

エンジニアの方にはぜひオススメしたい一冊です。

2013年5月22日水曜日

『快眠のための朝の習慣・夜の習慣』 内海裕子

『快眠のための朝の習慣・夜の習慣』 内海裕子
(レビュアー:デザイナー 伊波)

健康をテーマにした書籍紹介のラストである今回は「睡眠」についてです。

これまで「食」「心」「運動」に関する書籍をご紹介してきましたが、睡眠に関してお悩みの方は一番多いのではないでしょうか。
テレビなどのメディアで取り上げられている内容を見ると、日本人は不眠で悩んでいる方が多いと感じています。

この本には不眠の対策方法はもちろん、快眠するためにやるべきこととその理由が深過ぎずまんべんなく書いてあります。
睡眠に適した時間帯、睡眠前の注意事項などの説明から夢の内容についての話まで、さまざまな内容が書かれていますが、Q&A形式で構成されているものも多くとても読みやすいです。
眠る長さや時間帯、寝具の選び方、部屋の環境などはもちろん、睡眠前の注意や昼間の過ごし方、その他たくさんの要素があり、快眠するにはこんなにもたくさんの習慣が必要なのかと驚きました。
個人的に一番印象に残ったのが「就寝1時間前から照明を暗くし、PCやテレビの画面を見ない」ということです。私は夜に帰宅してからの過ごし方を振り返ると、眠りにつく寸前までほとんどPCやスマートフォンの画面に向かっています。また眠りにつくのが凄まじく早く、眠気を感じていなくても視界が悪くなる(部屋が暗くなる)とつい眠ってしまうため、実践するのは非常に難しそうだと感じました。
ですが逆に、朝にスッキリ目覚めるための習慣として書いてある「朝日浴」は知らず知らずに実行していました。もともと朝日が差し込みやすい部屋で、薄い布をカーテン代わりにしているため、強制的に朝日を浴びて目覚めていたのです。まったく意識せずにやっていたことですが効果を実感しているので、これからも続けていきたいと思っています。眠る前に少しカーテンを開けて朝に光が差し込みやすい環境を作るだけですが、遮光している状態と比べるととても起床しやすくなるので、本日からでも実践できる私イチオシの習慣です。

他にも食事についてや昼間の過ごし方などが書いてありますが、すべてを完璧に実践するのはなかなか難しそうです。興味のある部分だけ読んで、無理なくできるところから実践していく形が良いかもしれません。「気にし過ぎるのも不眠の原因」といった記述もあるので、読んだことを参考にしつつ気楽に前向きに睡眠と向き合っていくことが快眠への一番の近道なのではないかと感じました。

1日の睡眠時間を8時間とすると、1/3は眠っているということになります。私は「眠る時間が惜しい」と考え、ショートスリーパーになる方法を模索していました。しかしこの本を読んで、睡眠の質を上げることにより、眠っていない2/3の時間をより充実させることができるのではないかと考えるようになっています。
睡眠について特に悩みがない方でも、この本を読んでぜひ自分自身の睡眠について考えてみてはいかがでしょうか。

2013年4月24日水曜日

『運動で健康になる人、老ける人』八代直也

『運動で健康になる人、老ける人』八代直也
(レビュアー:エンジニア 福岡)

今回は健康をテーマに書籍を紹介する第3回目、「運動」についてです。
運動をする、イコール健康だっていうイメージ、皆さんにはありませんか?
私はありました。なのでこのタイトルはとても気になりました。

著者はフィットネスクラブのトレーナーをやっており、個人運動指導をしている方で、訪れる人の様々な事例と運動での対処法を紹介しています。
この書籍は「運動をするなら自分に合った運動法で行わなければならない」という事を全体を通して教えてくれています。
自分に合ったというのは身体による個人差、目的などはもちろんありますが、年齢差があるということについてはとても納得しました。

ある人が身体の不調を治す為にフィットネスクラブに訪れたそうです。その人は10年間毎日2時間ほどウォーキングを行なっていて、初めた当初はコレステロール・体重が減り健康になったそうです。
しかし歩き方と靴をみたところ歩き方に癖があり、若い頃は回復していた部分が年をとったことにより疲労として蓄積されてしまい、身体が不調になってしまった事がわかりました。
なので毎日ではなく週5日にすることを勧めたそうです。最初は10年間健康の為と信じてやっていたことを否定されるようで受け入れてくれなかったそうですが、やっていくうちに身体の不調がなくなり、また「やらなければいけない」心の縛りがなくなり、気持ち的にも楽になったそうです。

なんの為にやるのか、それに自分の身体が見合った運動はなんなのか。
そこをシッカリと見定めないと健康のための運動が逆効果になってしまうことがよくわかります。
精神的な疲れが腰などの痛みに繋がったりもするようなので、私も週に1度はヨガの呼吸法などをして心の運動したほうがいいと思いました。
この本を読んだらあなたもあなたに合う運動をきっと見つけられるのではないでしょうか。

2013年3月26日火曜日

『道は開ける』デール カーネギー

『道は開ける』デール カーネギー
(レビュアー:エンジニア 久保田)

健康をテーマにお届けしている書籍紹介の第2段。
今回のテーマは「心」です。

病は気からというように、心が病んでいるとそれに引きづられて
身体まで調子を崩してしまいます。
心が病む一番の原因は「悩み」ではないでしょうか。

この本はその悩みと
どのように付き合っていくのか、
克服するにはどうすればよいのか、
そもそも悩まないために何をしたら良いのか
が書かれています。

その一つとして、
「今日、一日の区切りで生きよ」
つまり、過去と未来を意識の外に追いやって、
今日その日のことのみ考えましょう。という方法が紹介されています。

過去のことはくよくよ考えてもしょうがないですが、
未来のことまで考えなくてもよい、という考えは刺激的でした。

未来に対する不安は絶えずありますが、
今日できることを全力でやることが未来へ備えるための最良の方法です。
それに「未来の不安まで今日抱えてしまってはどんな人でも耐えられない」
というのは確かにそうだなぁ。と納得しました。

特にこの本を読んでいる時期は非常に忙しく、
先のことを考えると絶望的な気分になっていたものです。。
その日1日のことだけ考える、と頭を切り替えたことで
随分と楽になったことを思い出します。

その他にもこの本には悩みの克服方法がたくさん書かれています。
しかもかなり具体的に、読んだその日から実践できる物も数多く紹介されています。

考え方ひとつで悩みから開放されるのだから
是非実践して心に健康を取り戻したいですね。

2013年3月13日水曜日

『粗食のすすめ』幕内秀夫

『粗食のすすめ』幕内秀夫
(レビュアー:マーケター/デザイナー 酒井)

前回は書籍紹介チームで4回に渡って「失敗」をテーマとした本を紹介し、
最後に「いかに失敗をなくすか」をディスカッションして具体的な施策を考えました。
目的意識が明確にあると、読書の効能は大きく変わってくるものです。
今後もアクションを起こすために読む「Read For Action」の活動を続けてまいります。

今回テーマにするのは「健康」です。
身体が資本とはよく言いますが、実生活で大きなウエイトを占めている睡眠や食事について、どれだけの人が果たして真剣に考えたことがあるでしょうか。
日々のパフォーマンスを高めるためにも、これから4回に渡って健康を考えるための書籍を紹介していきます。


私がイチオシしたいのは「粗食のすすめ」です。
ビタミンBが良いだとか、葡萄酒が良いだとか、バナナが良いだとか、メディアは基本的に単一の食品や栄養素を取り上げては、それが万能であるかのように特集を組みます。
視聴者にとって分かりやすくて、かつメディア側としては番組を量産しやすいからだと思いますが、そんなメディアとは対極の栄養論を唱えるのが、管理栄養士の幕内秀夫です。

北極地方に住むイヌイットは白熊やアザラシだけを食べて生きていますが、当然ながら栄養の偏りが原因で倒れるようなことはありません。
長年農耕民族として栄えてきた日本人は、同様に米ばかりを食べ続けてきましたが、倒れるようなことはありませんでした。
大事なのは野菜を採ることではなく、肉を採ることでもなく、何千年もかけて築かれてきた民族の食習慣に則ることなのだと著者は主張します。
日本人は米と野菜と魚でバランスが保てる民族なので、米と野菜と魚を食べましょうという話です。

ヨーロッパ西部は土壌にも降水量にも恵まれていないため、小麦やぶどうやオリーブを育てて肉を中心とした食生活を営んできました。
その西ヨーロッパと同じような食生活に日本人はシフトし続けています。
欧米人の食生活でバランスを取る機能が、日本人にあるのでしょうか。

筆者はやせ過ぎ・太り過ぎ・栄養失調・便秘など、様々な食の悩みを抱えた患者に対して「どんぶりいっぱいの麦ご飯を食べなさい」と指導するそうです。
それだけで栄養がバランスし、排便も充実して、患者はみるみる健康になっていくと言います。


私も人並みに肉が好きなので、麦ご飯だけで生活することはちょっと考えられません。
特に甘いものが好きで、中でもロッテのチョコパイを断つことには現実性がありません。
それでも何とか麦ご飯を食べ、魚を食べ、甘いものが欲しくなったらせめて饅頭や餅を食べようという気に、本書は差し向けてくれます。

80年生きるとしたら、あなたは一生のうちに90,000回近く食事を取ることになります。
ぜひ本書で「食」を考え、今後の人生を大きく変えてください。

2013年1月24日木曜日

『失敗学のすすめ』畑村 洋太郎

『失敗学のすすめ』畑村 洋太郎
(レビュアー:プログラマー 久保田)

今回は「リスクマネジメント」関連書籍の第4回目。
「失敗学のすすめ」を紹介します。

この本は失敗を多角的に見つめ、
失敗とは何なのか、
どういう種類や性質をもち、
どのように伝達されるのか、
といった観点で体系的にわかりやすくまとめてくれています。

日本では失敗は恥という文化が根づいているせいか
ネガティブなイメージがつきまとい、自分が失敗してしまうとつい隠してしまいたくなります。

しかし隠すことでは問題は解決しないばかりか、
場合によっては致命的な失敗を誘発してしまうケースもあります。
本書によると「1件の重大災害の裏には29件のかすり傷程度の軽災害があり、
さらにその裏にはケガまではないものの300件のヒヤリとした体験が存在する」
というハインリッヒの法則が失敗にも当てはまるそうです。
失敗を隠蔽せずに小さなうちからオープンにして対策を打つことができれば、
大きな失敗は未然に防げる可能性が高くなります。

失敗をオープンにすることは難しいことです。
報告すれば批判されるかもしれない、と思えば簡単にできるものでもありません。
失敗を許容する文化の醸造が不可欠かと思います。

オープンにしたあともどのように失敗情報をまとめて、
どのように伝達したらうまく活用できるのでしょうか。
同じような失敗を違うプロジェクトでもしてしまうというのはよくある風景かと思います。。
「失敗情報の記述は「事象」「経過」「原因(推定原因)」「対処」「総括」
の項目で行われるべき」で、その記述を元に「知識化」する必要があると、この本は述べています。
そして知識化された情報をデータベース化して誰でも参照できるようにする必要があるとのこと。

許容する文化を作りながら、失敗情報をどうまとめ、伝達するのか。
この本をヒントに失敗をうまく活用できるようになりたいものです。

2013年1月8日火曜日

『失敗学 (図解雑学)』畑村 洋太郎

『失敗学 (図解雑学)』畑村 洋太郎
(レビュアー:デザイナー 伊波)

今回はリスクマネジメントに関する書籍の3冊目である失敗学(図解雑学)の紹介です。

この本では失敗対策は「トップダウン」で行わなければならないものだと述べられています。上から見ると全体が見渡せても、下から見上げると一部しか見えない為、見落としが出てしまうためです。
ぜひトップの方に読んで頂きたい1冊ですが、経営者でもリーダーという役割でもない私の立場でも参考になります。

私は毎日のように失敗をしていました。仕事のこと、家事など日常生活のこと、趣味に関することなど、さまざまな場面で失敗をして後悔することが多いです。
それぞれ違う場での失敗ですが、「またやってしまった」と感じることが多くあり、失敗をしない仕組みをひとつ作ることで回避することができる失敗を繰り返していることが分かります。
失敗から目を背けてしまったり、深く考えずにいた為に何度も原因が同じ失敗をしてしまっているということに、この本を読んで気付くことができました。
今では、失敗したときは「なぜ失敗してしまったのか」を考え、対策をして次に進むようにしています。

この本では見開きの左ページに文章、右ページに図という構成で失敗について解説されています。
今までニュースで取り上げられて来たような失敗の事例なども用いて失敗とその対策について解説されており、とても分かりやすい書籍です。
リスクマネジメントの本を4回に渡り紹介しますが、ご紹介する4冊の中でこの本が一番分かりやすいと感じました。
そもそも「失敗学」というものが何なのか分からない、特に意識していない方にぜひ読んで頂きたいです。