2012年7月31日火曜日

『iPhoneアプリ設計の極意 –思わずタップしたくなるアプリのデザイン』Josh Clark

『iPhoneアプリ設計の極意 –思わずタップしたくなるアプリのデザイン』Josh Clark
(レビュアー:マーケッター/デザイナー 酒井)

PCサイトをデザインした経験が豊富なデザイナーでも、
スマートフォンの特性を知らないことには、まともなスマホアプリのデザインはできないでしょう。
「PCとスマホのデザインの違い」と言うとスクリーンの大きさくらいだと錯覚してしまいがちですが、
実際にはテニスと卓球くらいに違います。
何と言ってもスマホの入力デバイスは“マウスではなく指”です。

この本は「UIについて」「アイコンについて」「アラートについて」「他のアプリとの連携について」といった表立ったものから、「スプラッシュ画面のあるべき姿」「フールプルーフの設計」といった細部まで、徹底的にスマホアプリのデザインを解剖したものです。
かつ、あくまでも私の感覚的な話ではありますが、ことごとく的確です。
B5判で320ページというボリュームからも、著者の熱意が伝わってきます。

アマゾンなどで探してみていただけるとすぐに分かるのですが、
そもそもスマホのデザインについて書かれた専門の本はなぜかほとんど発行されていません。
「開発とデザイン両方について書かれた本」や「PCとスマホ両方のデザインについて書かれた本」はありますが、それでは情報量がまったく足りないことが、この本を読むと分かると思います。

スマホのデザインについて書かれた数少ない専門の本であるのと同時に、スマホのデザインと真っ向から向き合っている良書です。
デザイナーに限らず、ディレクター・企業のウェブ担当者など、スマホのデザインに関わりのあるすべての人にオススメします。

2012年7月25日水曜日

『WEB+DB Press Vol.68』

『WEB+DB PRESS vol.68 2012』
(レビュアー:エンジニア 福岡)

この号は4月からの新卒を対象とした「新人応援号」というコンセプトで、技術方面に弱い人でも理解できる特集があるので、技術の勉強を始めるにはうってつけの一冊です。
内容は「Web技術まるごと整理」「Node.js実戦入門」「はじめてのゲームAI」の3つに大きく分けられます。

「Web技術まるごと整理」では、Web技術の流れが如何に早く進化していき現在の状態になったのか、短時間で理解することが出来ます。またHTMLやサーバの仕組みについても完結に基礎から書かれており、静的・動的とは何か、サーバの動きなどWeb全体の流れを知ることが出来ます。
「Node.js実践入門」は、インストールの手順から書かれており、自分で実際に動かしながら進めることができ、読むだけではなく実際に手を動かすことにより理解を深めることが出来ると思います。
「はじめてのゲームAI」ではゲームの作り方をまったく知らなくても分かりやすいように丁寧に解説されており、ゲームを作る際の基本的な考え方が載っています。分かりやすく書かれているため自分も作ってみたいという意欲に駆られました。

また各コラムも非常に興味深く、様々な立場や経験をしたエンジニアの人々が自分の持っている情報を公開しています。内容ももちろん面白いのですが、このようにしてそれぞれの情報が共有されることにより、読んだ側も様々な視点からモノ作りに関して考えを持てるということが、重要に感じました。
参考書と違い、様々な執筆者が書いて一つの書籍になっているのも魅力の一つだと思います。

2012年7月4日水曜日

『ウェブデザインのつくり方、インターフェイスデザインの考え方。』矢野りん

『ウェブデザインのつくり方、インターフェイスデザインの考え方。』矢野りん
(レビュアー:デザイナー 伊波)

Web・スマートフォン・電子書籍などのデザインに必要な技法や考え方を解説している本です。

「UX」「整列」「ホワイトスペース」といったトピックスごとに4ページ~5ページ程度でまとめられています。それぞれ解説・具体例・コラムなどから構成されています。
ちょっとした時間で技法ごとに少しずつ読み進めることができ、とても読みやすい本だと感じました。
関心があるところから先に読んだり、辞書的な使い方もできると思います。

私は技術書のような本を読むことがとても苦手で、実践しながら読み進めないとなかなか内容を把握できません。
ですが、この本はビジュアルを効果的に用いた説明や実際のWebサイトの具体例があり、
本を読むだけで使用する場面を想像し、理解を深めることができました。

特に「なぜそのデザイン技法を用いるのか」という部分についての解説が非常に分かりやすいです。
例えば「ホワイトスペース」の説明で、「余白には視線を集中させるという機能がある」という一文があります。余白が「何もない部分」ではないことはよく言われることですが、どのような機能があるのか、どのように用いると効果的なのかという重要な部分はこの一文を読むまで理解していませんでした。

この本を読むことによって、「なぜこうなのか」をしっかり説明できるデザインを制作することができるようになると思います。