2012年8月28日火曜日

『ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語』 佐々木俊尚

『ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語』 佐々木俊尚
(レビュアー:デザイナー 伊波)

主題に「ニコニコ動画」とありますが、副題の「ドワンゴ物語」の方が内容としては近いです。現在ニコニコ動画を運営しているドワンゴという会社の成長を追っています。
新しいゲームが発売されると会社を休んでしまう程のゲーム好きや、天才プログラマーなど、ドワンゴに関わっている多種多様な人々、また時代背景も描かれていて、本当にノンフィクションなのか疑う程にドラマチックな物語です。

私がパソコンやインターネットに触れ始めたのは「2000年問題」などが話題になる少し前で、技術的な面もあまり詳しくありません。
なので、前半部分のパソコン通信時代の話はよく分からないし、理解できない専門用語も多くありましたが、それでも当時その技術に触れていた人々が感じていたであろう臨場感が伝わってきました。

ニコニコ動画でドワンゴという社名を知り、着メロをやっている会社だということはそれとなく知っていましたが、読み進めると「あれがドワンゴだったのか!」と驚き、それができるまでの過程にまた驚きました。

ニコニコ動画については後半の方にしか出てきませんし、「物語」としては切れ味の悪い終わり方をする本なのかもしれません。
しかし、ニコニコ動画、ドワンゴ、それを取り巻く環境、どれもまだ動き続けているノンフィクションの話だということを最後にようやく思い出す程に、創作された小説のようなドキュメンタリーになっています。

私はこの本を読むと、新しい技術や文化に触れたときのわくわくした感覚や、「こういうおもしろいものを作りたい」とクリエイターを目指し始めた頃を思い出します。
モチベーションが下がってしまったとき、また読み返したい1冊です。

2012年8月15日水曜日

『プロになるためのWeb技術入門』小森裕介

『プロになるためのWeb技術入門』小森裕介
(レビュアー:エンジニア 福岡)

ちょっとプログラミングができる人ならば最近は根本的な仕組みを知らなくても、Webアプリケーションの開発が出来きちゃいますよね。
でも根底のWeb知識がないと、トラブルシューティングやセキュリティ対策に不備が出てきてしまうこともあります。
この書籍はそんな不備をなくすために必要なWebの背景をとても理解しやすく説明してくれています。

この本の良いところは、説明されてもいまいちピンとこないWebが動く仕組みをとても分かりやすく記述されているところだと思います。
何故分かりやすいのかというと、その分かりにくいデジタルな部分をアナログな例で説明しているところです。
例えばプロトコルを狼煙としたり、TCP/IPを郵便配達と例えたりしています。Webは目に見えない動きが多い為、身近なもので例えられることでスッと自分の中に吸収されました。

また、技術書ではどうしても堅い文章が多いですが、この書籍は全体的に文章も柔らかいので、非常に読み進めやすいと思います。
章もわりと細かく分かれているので、空いた時間の合間にぜひ読んで見てほしい1冊です。