2013年8月21日水曜日

『世界一やさしい問題解決の授業』 渡辺健介

『世界一やさしい問題解決の授業』 渡辺健介
(レビュアー:デザイナー 伊波)

今回は社会人基礎力の中の「アクション」についての本です。

「社会人」としての基礎力をテーマにしていますが、この本は今まで紹介した本とは違い、子どもを対象として書かれています。
内容としてはタイトル通り、問題解決の方法を優しく説明しているものです。
小学生の教科書のように物語と共に学べる形式になっており、見ているだけで楽しくなるようなポップな図解が多く、とても分かりやすく読みやすい印象を受けました。
他の本などで問題解決についての知識を得ていない状態ならば、大人でも十分読む価値のある本だと思います。

この本では問題にぶつかった子が問題を解決する為の行動を追いながら、その方法を解説しています。
問題についてしっかり考えて目的を決める、さまざまな方法を用い状況を分析する、そこから問題解決に必要な行動を考え、行動するといった流れです。
自分1人ではできない案でも他の人に協力してもらうことで実行に結びつけたりして、見事に問題を解決します。

「目的を達成するためにはどのような行動を取るべきか考える」ということは、言葉にすると当たり前のことだと感じます。
ですが、そのプロセスや導き出された結果を振り返ると、本当にしっかりと問題の解決ができていたでしょうか?
私は、特に効果のない行動を繰り返したり、短期的には解決しても長期の解決には結びつかないその場限りの解決策を講じたりしていたことが何度もあります。
しっかりと目的を決め、状況を把握し、どうすれば目的を達成することができるのか?これらのことを何も考えずに行動していた訳ではありませんが、どこかが中途半端になってしまっていました。

今の私は「社会人」としては消極的な部類に属していますが、プライベートである趣味の場では驚くほど積極的になります。特に意識して考えなくても、経験から目的に対し解決する為の方法を導き出すことができるからです。
つまり、問題解決のイメージができていない、自信がないために行動することを踏みとどまってしまいます。
この本を読んで問題解決の方法を学び身につけることが、私にとって「社会人」として前に踏み出す力の基盤になるのではないかと感じました。

2013年8月5日月曜日

『イシューからはじめよ』安宅和人

【オススメ書籍紹介】『イシューからはじめよ』安宅和人
(レビュアー:エンジニア 久保田)

書籍紹介チーム「社会人基礎力」編。今回の話題は「シンキング」です。

本書のはじめに
・悩まない、悩んでいるヒマがあれば考える。
という節があります。
ここでは「悩む」と「考える」は違うものだということを教えてくれています。
ではどう違うのか、本書を引用してみます。

"「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること
「考える」= 「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること"

この「答えが出る」の部分が非常に重要で、答えがでる問題のことをこの本では「イシュー」と定義しています。
「イシュー」を適切に設定することで、無駄のない思考が可能になります。

イシューは以下のように思考をブレイクダウンすることで設定することができます。
"「何に答えを出す必要があるのか」という議論からはじめて
「そのために何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析を設計していく。"

そして適切なイシューが設定できたら、あとは仮説を立てて検証していきます。
この行為こそ「考える」ということそのものなのでしょう。

イシューを設定することは経験的にもとても難しいとおもいます。
まず何について考えているのかよくわからなくなってしまい
無駄に時間を過ごすということはすぐに思いあたります。
つまりただ「悩んで」時間を無駄にしていたわけです。

プロのエンジニアである以上、ただ闇雲に時間を過ごすことは許されません。
お客様の要望を如何に実現するか、言われた仕様をただ実装するだけでなく、
真に解決したい問題とはなんなのか考え、もっと良い物があれば提案する。
イシューに注目することでそういった価値が発揮できるのでは無いかと思います。

イシューの設定方法、仮説、検証の部分に関しては
本書でも様々なツールをや技術を紹介してくれています。
問題をダブりもモレもなく分解する「MECE」だったり、
結論とそれをささえる要点で構成されたピラミッドストラクチャーだったり。

「考える」とは「技術」ですので
練習すれば誰でも習得できるとのこと。
まずはできるところから。練習あるのみです。
悩むのではなく、ちゃんと考えられるようになりたいものですね。