2013年1月24日木曜日

『失敗学のすすめ』畑村 洋太郎

『失敗学のすすめ』畑村 洋太郎
(レビュアー:プログラマー 久保田)

今回は「リスクマネジメント」関連書籍の第4回目。
「失敗学のすすめ」を紹介します。

この本は失敗を多角的に見つめ、
失敗とは何なのか、
どういう種類や性質をもち、
どのように伝達されるのか、
といった観点で体系的にわかりやすくまとめてくれています。

日本では失敗は恥という文化が根づいているせいか
ネガティブなイメージがつきまとい、自分が失敗してしまうとつい隠してしまいたくなります。

しかし隠すことでは問題は解決しないばかりか、
場合によっては致命的な失敗を誘発してしまうケースもあります。
本書によると「1件の重大災害の裏には29件のかすり傷程度の軽災害があり、
さらにその裏にはケガまではないものの300件のヒヤリとした体験が存在する」
というハインリッヒの法則が失敗にも当てはまるそうです。
失敗を隠蔽せずに小さなうちからオープンにして対策を打つことができれば、
大きな失敗は未然に防げる可能性が高くなります。

失敗をオープンにすることは難しいことです。
報告すれば批判されるかもしれない、と思えば簡単にできるものでもありません。
失敗を許容する文化の醸造が不可欠かと思います。

オープンにしたあともどのように失敗情報をまとめて、
どのように伝達したらうまく活用できるのでしょうか。
同じような失敗を違うプロジェクトでもしてしまうというのはよくある風景かと思います。。
「失敗情報の記述は「事象」「経過」「原因(推定原因)」「対処」「総括」
の項目で行われるべき」で、その記述を元に「知識化」する必要があると、この本は述べています。
そして知識化された情報をデータベース化して誰でも参照できるようにする必要があるとのこと。

許容する文化を作りながら、失敗情報をどうまとめ、伝達するのか。
この本をヒントに失敗をうまく活用できるようになりたいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿