2014年4月10日木曜日

『無料でできる!世界一やさしいGoogle Analytics●アクセス解析●入門』 丸山 耕二

『無料でできる!世界一やさしいGoogle Analytics●アクセス解析●入門』 丸山 耕二
(レビュアー:エンジニア 伊波)

最近Google Analyticsを使ってアクセス解析を始め、その際に読んだ初心者向けの本です。

Google Analyticsはさまざまなデータの解析ができ、非常に便利です。
その一方、あまりにも膨大過ぎてどんなデータを見れば良いのか分からなくなることがあります。
そもそもアクセス解析自体まともに取り組むことがなかった私は、とりあえず画面を眺めては途方に暮れていました。

この本は非常に分かりやすく、また読みやすい構成です。
主人公である税理士の青年がウェブコンサルタントと出会い、ホームページを改善することで成功を納める物語と共に、アクセス解析の基本・Google Analyticsの使い方が解説されています。
物語としても細やかな描写があり、つい続きが気になってしまい集中して読んでしまいました。

最初の章の第2話で、主人公とコンサルタントが中華料理屋に行くシーンが描かれています。
読み始めたばかりだった私は、そんな描写はいらないのでは?と感じてしまいました。
ですが、なぜお客さんが多く訪れるのか実際の店舗を例に挙げて説明されており、突然Webの話から入るより非常に分かりやすかったです。
Webという現実の店舗とは違った形でGoogle Analyticsを用いて解析を行いますが、考え方の基本は現実の店舗と変わりありません。
当然のことかもしれませんが、まったくの初心者な状態からGoogle Analyticsを使い始め、膨大なデータやさまざまな解析方法にばかり気を取られていた私は、基本的なことに気付いていませんでした。

アクセス解析をこれから始める方に、最初の1冊としてオススメの書籍です。

2014年3月25日火曜日

『膨大な資料を迅速・正確に処理できる 情報をさばく技術』 木山 泰嗣

【オススメ書籍紹介】『膨大な資料を迅速・正確に処理できる 情報をさばく技術』 木山 泰嗣
(レビュアー:エンジニア 伊波)

現在、世の中には大量の情報が溢れています。
書籍・新聞・テレビ・インターネットなど、さまざまな形で気軽に調べ、入手することができ非常に便利ですが、あまりにも膨大な量があるため本当に必要な情報を得るまでに時間がかかってしまっていました。

この本は、大量の資料を扱う際の基本的な方法がまとめられています。
書籍など紙の資料に対するものが主に書かれており、インターネットの情報や電子データの資料に関する記述はあまりありません。
私は主にインターネットや電子データを扱うことが多いのですが、通じるものがあり参考になりました。

第1章で、資料を読む際にはまとまった時間を取るということが書かれています。
「資料を読む」というと、ちょっと空いた時間にもできるイメージがありました。私は隙間時間に資料を読み、まとまった時間は作業にあてるという流れをイメージしていたのです。
ですが、その方法だと読んだ内容が頭に入っておらず、作業をやり直したり何度も修正するという作業をしてしまっていました。
しっかり「資料を読む時間」を取り、落ち着いてしっかり内容を把握することが、効率よく作業を進めるためには大事なのだと改めて感じました。

つい手を動かしたくなってしまい情報の把握を簡単に済ませてしまうことが多いのですが、しっかり資料に目を通して整理し、無駄な作業なく効率的に仕事ができるよう努力して行きたいと思います。

2014年3月17日月曜日

『ルールを変える思考法』川上量生

【オススメ書籍紹介】『ルールを変える思考法』川上量生
(レビュアー:エンジニア 福岡)

この書籍はドワンゴの会長である川上量生氏が書いた書籍です。
4gamer.netでの連載がもとになっています。
一応くくりとしてはビジネス書となっていますが、私は読んでみて一つの物語のように感じ、一般的な”ビジネス書”とは違う印象を受けました。

著者は自信をゲーマーであるとし、ゲーマーは経営者になるべきだと述べ、ビジネスはリアルなゲームであると言っています。
経営に必要な能力は「自分が有利なルールを考え、実現する能力」であると考えています。
それがどういうことなのか、またルールを変えるタイミングを見極めることなど、ゲームとルールを変えることがどのような繋がりを持つのか述べられています。

全体を通して私が思ったのは、著者はとてもユニークな人なんだと言うことです。
(読み終わってから調べてみたところ、経営者の中でも異色であるそうですね。)
ニコニコ動画がどのようにしてできたのかが書かれているところを読み、私は今まで何かを切り開く時、突発的な発想が大事なんだと思っていましたが、この書籍を読んで、物事の積み重ねにより考えぬいて出てきた発想が大切なんだと感じました。
ビジネスの何かのヒントになるかもしれませんし、単純に川上氏がどのような考えを持っている人なのか知るために読んでもとてもおもしろい書籍だと思うのでおすすめです。

2014年2月14日金曜日

『デザインの輪郭』深澤直人

【オススメ書籍紹介】『デザインの輪郭』深澤直人
(レビュアー:エンジニア 久保田)

本書は「デザインとはなんなのか」という、
やや抽象度の高い内容について書かれています。
例えば「張り」という章があるのですが、本文が
「張りは、輪郭の力のことです。」
と続きます。
はて?と思って読み進めていくと、

ものとその周りにある環境との関係が、そのものの輪郭を決めていく。
その輪郭を見だすのがデザイナーの仕事であるということがわかってきた。
~略~
外の要因や、外の力が、内を決めているということが。
その必然的かたちが、必然的力をみせる。それが「張り」なのである。

と続きます。
わかったような、わからないような。
でも、なんとなくわかりますよね。
そもそも「張り」についてこんなに深く考察したことがないので、
分からないのは当然なんですけど、なんとなくわかる。
この、何もないところから、なんとなく分かる状態に持って行くこと
その行為そのものがデザインなのかな。と感じました。

デザインするということは何か具体的なものが最初からあるわけではなく、
様々な要因が星屑のように散らばった中から、星座のように輪郭を見出すことだと。
そしてその輪郭を見えるようにサポートすることがデザイナーの仕事だと本書では書かれています。
「多くの場合、人は形にして見せてもらうまで,自分は何が欲しいのかわからないものだ」
というジョブスの言葉を思い出します。
よく考えると、これはデザイナーだけの仕事ではなく、自分のようなエンジニアにも言えることです。
大量の要件の中から本当に必要なものを選び、問題を解決するものを提示して作っていく。

手段は違えども同じ目標に向かっている。
そんなことを思い、すこしデザイナーに親しみを感じられる一冊でした。
エンジニアにもオススメです。

2014年1月28日火曜日

『ディズニー、NTTで実践した 「感動とリピート」のマーケティング』 渡邊 喜一郎

【オススメ書籍紹介】『ディズニー、NTTで実践した 「感動とリピート」のマーケティング』 渡邊 喜一郎
(レビュアー:デザイナー 伊波)
ディズニーといえば、素晴らしいサービスで入園者をおもてなししてくれる夢の国です。
私は幼い頃一度行ったくらいでほとんど覚えておらず、そのおもてなしを実感したことはないのですが、ディズニー好きの友人が多いため、いつも話を聞いてはディズニーで働く方々の仕事振りに驚いています。
そんなディズニーを運営するオリエンタルランドとNTT、まったく違うジャンルに感じる2社でマーケティングの方法は同じなのかと興味を持ち、この本を手に取りました。

本のタイトルにあげられているのは上記の2社のみですが、著者である渡邊さんが他に勤めていた会社での事例も多く紹介されています。それぞれがショートストーリーのように書かれているので、気になった事例だけ読んでいくのも良いかもしれません。
私が一番感動した事例は、テレビ電話を使って東京で結婚式をする孫と、地方で寝たきりになったおばあちゃんをつなぐというものです。今ではテレビ電話など珍しいものでもなく、こんなにも感動を生み出すものだったとは思いもよりませんでした。
私はこのような技術的なもので感動を与えているイメージがあまりなく、ディズニーのようなサービスとはまったく別物だと思っていました。ですが、根本の考え方はどんなジャンルでも同じです。この本を読んで、そのことに気付くことができました。

本の最後に「ビジネスに、人間に、たくさんの愛情を持とう」と記されています。
やはり「好き」という感情が何よりも大切なのだと感じ、私も誰かを幸せにできるような仕事ができるよう努力して行きたいと改めて思いました。

2014年1月16日木曜日

『ニンテンドー・イン・アメリカ』著:ジェフ・ライアン 訳:林田陽子

【オススメ書籍紹介】『ニンテンドー・イン・アメリカ』著:ジェフ・ライアン 訳:林田陽子(レビュアー:エンジニア 福岡)

この書籍はアメリカからみた任天堂の歴史が書かれています。
面白いのはマリオを主軸にしているところです。
著者はゲームジャーナリストで、彼は任天堂について調べてこの本を書いているので主観も入っていますが、任天堂がどのようにして成長していったのかとてもわかりやすいと思います。

おそらく現在知れ渡っているサービスや商品などを築いた企業にはいくつかのターニングポイントがあったと思います。
それは必ずしも好機なわけでなく、むしろことわざにもある火事場の馬鹿力のように、追い込まれてた時に立て直したことが結果として転機となっている、そんな気がしました。
任天堂も、今は代表作であるマリオシリーズの主人公マリオは、アメリカでの最初の仕事で失敗してしまい、その代替案であるアーケードゲーム「ドンキーコング」から誕生しました。
それもアメリカでの仕事はもう失敗できない状況でしたが、ドンキーコングがあたるという確証はどこにもありませんでした。
結果として大ブレイクしましたが、それまでに売れていたアーケードゲームとは趣旨を変える、という一種の賭けだったと思います。そこで人気が出なければきっとアメリカ市場から退いていたんだと思います。

どんな企業でもそうして何度も挑戦と失敗と成功を繰り返して行くんだと感じました。
そしておそらく失敗のほうが多く、その失敗を活かすということもあり、1度の成功がとても大きいのだと思います。
私も失敗をおそれずに挑戦をし続けて成功へ繋げていけるようにしたいと思います。