2013年10月31日木曜日

『パーソナルブランディング 最強のビジネスツール「自分ブランド」を作り出す』 ピーター・モントヤ ティム・ヴァンディー

【オススメ書籍紹介】『パーソナルブランディング 最強のビジネスツール「自分ブランド」を作り出す』 ピーター・モントヤ ティム・ヴァンディー
(レビュアー:マーケター 酒井)

「パーソナルブランディング」という概念をご存知でしょうか。
企業が自社のブランディングをするように、
個人も自らのブランディングをすべきだという考え方です。

あなたにはどういう価値があるのでしょうか。
何ができるのでしょうか。
それは価値のあることなのでしょうか。

特にアメリカでは「パーソナルブランディング」という考え方が浸透しています。
日本ではジョブローテーションの一貫で総合職がマーケティングをやったり人事をやったりしますが、
日本で総合職が担っているような仕事がアメリカでは専門化されています。
極端な話をすると新規事業立ち上げの専門家は新規事業立ち上げのために雇われ、
無事に立ち上がった暁には解雇されます。
会社に勤めているというよりもプロジェクトのポジションに勤めているため、
そのポジションが不要になれば当然その会社に居場所はなくなります。

このため、自分が何をできる人間なのかを明確にし、
労働市場で価値をアピールし続けることが死活問題になってくるのです。

これはアメリカの話だから関係ない、と思われるかもしれませんが、実はそうでもありません。
アメリカの会社も元々は年功序列・終身雇用に近い考え方をしていました。
それでは回らなくなってきたので経営学者や組織論者が色々と考えて成果主義や契約社員がマジョリティになってきたのです。
日本もちょうど回らなくなってきたところです。
今後の日本の労使関係を占うことはそんなに難しいことではありません。

「あなたには何ができるんですか?」
「部長ができます」
という中途採用面接の笑い話は有名ですが、
パーソナルブランディングができていないとこれと大差ない受け答えしかできなくなってしまいます。


本書はそんなホットな「パーソナルブランディング」の指南書です。

・どのようにして自分の強みを見極めたら良いか
・どうやってその強みを磨いていけば良いか
・磨いた強みをアピールするためにどうしたら良いか

内容に純文学のような厚みはありませんが、役に立つことが載っています。
私は9ヶ月前にこの本を読み載っていたことを愚直に実践しました。
自分の強みを明確化したり、個人の名刺を作ったり、パーソナルパンフレットを作ったり、といったことです。

この活動のおかげで手にできたチャンスは少なくありません。
面白いプロジェクトに誘いを受けたり、
新しい事業の立ち上げのマーケティングを頼まれたり、
今後一緒に仕事をできるかも知れない人を引き合わせてもらえたり、
会社に役員としてジョインすることを求められたりというような成果につながりました。
会社員としてではなく、個人として活躍できる場が世の中にはたくさんあります。
それらの活動を通してよりパーソナルブランディングを強化することができます。

パーソナルブランディングを実践することはすごく面倒くさいです。
でも、やるのとやらないのとでは大きな違いを生みます。
本書を読み、ぜひ週末を潰してパーソナルブランディングに励んでみてください。

2013年10月16日水曜日

『生まれ変わっても、この「仕事」がしたい』 堀田 孝治

【オススメ書籍紹介】『生まれ変わっても、この「仕事」がしたい』 堀田 孝治
(レビュアー:デザイナー 伊波)

キャリアプランについて、私はあまり深く考えたことがありませんでした。
時間がなくて考えている暇がないという訳ではなく、自分自身がこれからどうなりたいのかという意思が特になく、ただ仕事をしていくことである程度満足してしまっていたのです。

この本は、はじめにキャリアについて考えることの重要性を説いています。
そして「自分の望むキャリア」の発見方法、そのキャリアを実現するための方法などが解説されています。
解説がとても分かりやすくて、本を読んでいるというよりも個人のブログを読んでいるような親近感があり、「行動にうつしてみよう」とポジティブな気持ちになれる本です。

「何がしたいか分からない」という悩みは、特に若い世代だとよくある悩みだと思います。私も深く考えてはいなかったにしろ、ふとしたときに「本当にこの仕事がしたいのだろうか」と思うことがあります。
小さな子どもが「お花屋さんになりたい」「サッカー選手になりたい」という漠然とした夢を持つのと同じように、「WEBで何かを作る仕事がしたい」と幼い頃から思っていたせいか、10代半ばから他のものは向いていないと思い込んでいる節がありました。それが視野を狭めているのではないか、他に自分の望む仕事が別にあるのではないか、そう考えながらも目をそらしていました。

本で紹介されている望むキャリアの発見方法のなかで、私が一番やってみておもしろいと感じたものが「30分の制限時間以内にやりたいと思ったことをとにかく書き出す」というものでした。
実際に行動している訳ではない今でも思い浮かべるだけでやりたいことがたくさんある上、ただ思い浮かべただけなのにワクワクしてくるのです。
本当に自分が望んでいる、生まれ変わってもやりたいと思える仕事は、きっとこのワクワクの中にあると感じました。

私のようにキャリアについてあまり考えたことのない若い世代にも、何年もキャリアを積み重ねた方にもおすすめしたい1冊です。

2013年10月1日火曜日

『ハイ・コンセプト -「新しいこと」を考えだす人の時代』 ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)

【オススメ書籍紹介】『ハイ・コンセプト -「新しいこと」を考えだす人の時代』
ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)
(レビュアー:エンジニア 久保田)

今回のRead for Actionのテーマは『キャリアプラン』です。
キャリアについて考える機会はなかなか少ないと思いますが、
それぞれが選んだ書籍を通してそれぞれの未来について考えてみたいと思います。

まずこの本にある次の3つの質問を考えてみましょう。

1.この仕事は、他の国ならもっと安くやれるだろうか?
2.この仕事は、コンピュータならもっと早くやれるだろうか?
3.自分が提供しているものは、豊かな時代の非物質的で超越した欲望を満足させられるだろうか?


「1,2の答えがyes、3の答えがnoだとしたらあなたが抱える問題は深刻だ。」と書かれています。
私もこの深刻な問題を抱える1人です。
この質問の回答を考えている時、背筋が凍りました。
今やWebで世界中がつながり、競争相手は世界となり、
自分が仕事で使っているパソコンすら自分の競争相手となる。
自分のやっている仕事はもっと安く、もっと早くできてしまう。
こうなると自分の存在意義が無くなってしまいます。

ただ日本に生きているというだけで、他国より高い給料をもらっていける時代は終わってしまいました。

ではどうすればこの先生き残っていけるのでしょうか。
答えは「右脳主導思考」です。
農業、工業、情報の時代は過ぎ去り、今や「コンセプトの時代」が幕を開けました。
このコンセプトに必要なものが右脳主導思考なのです。

この本では具体的に6つの鍛えるべきセンスを上げてくれています。
1.デザイン
2.物語
3.全体の調和
4.共感
5.遊び心
6.生きがい

詳細は書籍を読んでいただくとして、共通することは
単純作業ではなく機械じゃできないこと
かと思います。

自分はエンジニアですが、ただコードを書くだけではなく、
よりよいサービスのために何ができるのか、自分の得意分野は伸ばしつつ
上のセンスについても今後鍛えていく必要がありますね。
これらを組み込み、自分のキャリアプランを考えていこうと思います。