2014年2月14日金曜日

『デザインの輪郭』深澤直人

【オススメ書籍紹介】『デザインの輪郭』深澤直人
(レビュアー:エンジニア 久保田)

本書は「デザインとはなんなのか」という、
やや抽象度の高い内容について書かれています。
例えば「張り」という章があるのですが、本文が
「張りは、輪郭の力のことです。」
と続きます。
はて?と思って読み進めていくと、

ものとその周りにある環境との関係が、そのものの輪郭を決めていく。
その輪郭を見だすのがデザイナーの仕事であるということがわかってきた。
~略~
外の要因や、外の力が、内を決めているということが。
その必然的かたちが、必然的力をみせる。それが「張り」なのである。

と続きます。
わかったような、わからないような。
でも、なんとなくわかりますよね。
そもそも「張り」についてこんなに深く考察したことがないので、
分からないのは当然なんですけど、なんとなくわかる。
この、何もないところから、なんとなく分かる状態に持って行くこと
その行為そのものがデザインなのかな。と感じました。

デザインするということは何か具体的なものが最初からあるわけではなく、
様々な要因が星屑のように散らばった中から、星座のように輪郭を見出すことだと。
そしてその輪郭を見えるようにサポートすることがデザイナーの仕事だと本書では書かれています。
「多くの場合、人は形にして見せてもらうまで,自分は何が欲しいのかわからないものだ」
というジョブスの言葉を思い出します。
よく考えると、これはデザイナーだけの仕事ではなく、自分のようなエンジニアにも言えることです。
大量の要件の中から本当に必要なものを選び、問題を解決するものを提示して作っていく。

手段は違えども同じ目標に向かっている。
そんなことを思い、すこしデザイナーに親しみを感じられる一冊でした。
エンジニアにもオススメです。