2013年9月3日火曜日

『ザ・チーム』齋藤ウィリアム浩幸

【オススメ書籍紹介】『ザ・チーム』齋藤ウィリアム浩幸
(レビュアー:マーケター 酒井)

あなたが所属しているチームは"良い感じ"でしょうか。
お互いに批判し合ったり、特定の人物が音頭を取って、残りの人はついていくだけの構図にはなっていないでしょうか。

アメリカの大学からベンチャーを立ち上げ、その後もアメリカでいくつかの事業を手がけた著者が日本に対して持った違和感は、「チーム」という概念そのものが不在であったことでした。
チームというのは言うまでもなく、協力することによって個人よりもずっと早く質の高い結果を生むためにあります。
このチームが日本ではまともに機能していない、というのが著者の指摘です。

チームが本来の目的を達成するためにはどうしたら良いのでしょうか。
まずは目的を共有することが欠かせません。メンバーそれぞれが違うゴールを目がけていては、例えばディスカッションしてもただ声が大きいだけの人の意見が通ってしまいます。

次いで、お互いに尊重し合う必要があります。個人には得意なことも苦手なこともあります。
例えばものづくりが得意な人とマネジメントが得意な人がチームを組むから、お互いの強みを活かして良いアウトプットが生まれます。
ここでものづくりが得意な人が、マネジメントが得意な人に対して、「ものづくりができないやつに指示されたくない」というような思いを持ってしまうとチームは成立しませんが、あなたの身の回りでもこのような他人の批判が日常的に行われているのではないでしょうか。
反面でマネジメントが得意な人は、ものづくりが得意な人に対して、「もっと責任を持ってほしい」と思うことがあります。ものづくりが得意な人はある一定の作業範囲を任されるわけですが、仕様が漏れているところを先に確認したり、テストをしたりと、どこまでが責任の範囲になるのかで意識がずれる現象です。ものづくりが得意な人もある意味、自分の作業内容をマネジメントする必要があるのですが、マネジメントが得意な人はこれを強く求める傾向にあります。
しかし、お互いに不得意な部分をあげつらい合っているだけではチームは成長しません。
最初に本人も自分ができない部分を認め、チームメンバーもその人に弱点があることを肯定的に認める必要があります。
そうすると、一緒にどこまで早く良いものが作れるか考えることができるようになります。チームとして一体になります。


誰しも一度や二度は"良い感じ"のチーム活動をしたことがあるのではないでしょうか。
例えばスポーツは目標の共有が比較的容易なのと、個々に求められる能力に類似点があるので、"良い感じ"のチーム活動になりやすいと思います。
私も少ないながら、その貴重な体験をしたことがあります。
あのチームを再現するためには、目標の共有とお互いの尊重が鍵になってきます。
あなたのチームを"良い感じ"にするためのノウハウが、この本には詰まっています。