2012年10月10日水曜日

『ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち』著:Paul Graham/訳:川合史朗

『ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち』著:Paul Graham/訳:川合史朗
(レビュアー:エンジニア 福岡)

難しそうな題名ですが『本書はハッカーの世界へのガイドブックだ』と、書かれているようにプログラミングの世界をまったく知らなくても、読み進めていくことができる一冊です。
書籍内でも書かれていますが、ハッカーというと一般的にはコンピュータに侵入する人のことを言いますが、ここでは優れたプログラマのことを指します。
一般的にそう認識されているため、誤解を招くことも著者は承知の上で、あえてこの題名にしたと言っています。
そんなところからも分かりますが、著者は少し癖のある人のようで内容も自分の思う所を自由に書いていてとても面白いです。

例えば「どうしてオタクはもてないか」という章でオタクについて語っていたり、「富の創りかた」という章ではどのようにして裕福になるか、など一見コンピュータとは関係のない話をしているようにも思えます。
しかし、なぜオタクと呼ばれるのか、それは人と上手く関わることを学ぶよりも熱中しているものについて学んでいき、人とのコミュニケーションは下手でもコンピュータについて誰よりも知識を持っていく、そんな話が書かれています。
そしてハッカー、つまり優れたプログラマがどのようにして生まれるかなどがわかっていきます。

そしてタイトルにある”画家”は、ロジックを大事にして作っていくプログラマと、感覚やセンスで絵を書いていく画家というのは正反対のように思えるけど、それは間違いだという事が説明されています。
絵が下手な私には最初ピンときませんでしたが、読んでみるとプログラムを組むときも絵を書くときも、まず全体を見据えていたり、途中で修正を可能にすることなど、確かに本質的なところで同じことがたくさんあると感じました。

冒頭で著者も述べていますが、各章に繋がりはなく、順番も気にせず好きなように読むことができるので、少し空いた時間にも読みやすい一冊だと思います。
またハッカーの世界へのガイドブックと言っても、ある一人プログラマの考えとして読むと、自分がプログラマとしてどうありたいかなど改めて考えさせられます。

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